種明かしはこうだ。簡単なことだ。店のなかから笑顔が消えた。なるほど、声は出てる。接客もマニュアル的には悪くない。けど、客がその店に入ってきたときに真っ先に感じるものはなにか。

 おそらくは、威圧感だ。

 コンビニに来る人間にはさまざまな人がいる。みながみな買いもののためだけに来るわけじゃない。「なんとなく入って、無駄遣いしていく人」が、コンビニにとっては相当に重要だ。日常、コンビニに限らない、利用する店について人はなんとなくイメージを持っている。「なんとなくいい店」「なんとなく感じの悪い店」などなど。その「なんとなく」の源泉は、もちろん接客でもあるだろうし、意外に重要なものとしては店の照度だったりもする。俺は、恐怖支配で店を運営するうちに、この「なんとなく」をごっそりと取り落とした。客にとって「なんとなく寄りたい店」を作ることができなかった。客の来店頻度は落ち、常連客を取り逃す。

 そして崩壊だ。

 崩壊は、クレーマーと店内不正というかたちでやってきた。些細なミスに対して寄せられたクレームに対する対応を俺は誤った。うちの店は完璧だという自負がある。取るに足らないミスでそこまで執拗に追求される覚えはない。頑強に突っぱねたクレームは恨みを呼ぶ。客の店に対する愛着のなさが、クレーマーというかたちで突出した。いまの俺はそう考える。当時は「異常な人間はほっとくしかない」って考えてたけど。